私が教授になりましたときに教え子たちが「あの先生にはモノを贈ったってあかん。全部バザーに出してしまうから。バザーに出されないモノを贈りたいと言って「先生、何か欲しいのですか」と聞いてきました。私はそのとき考えました。使ってしまうものがいい。そしてありかたく使えるものがいい。それでいて保存ができて腐らないものがいい。それで「だし昆布をもようだい」と答えたのです。だし昆布は必ず使えると思ったのです。そのだし昆布を切って使うたびに「ああ、あの年度の卒業生からもらったんだ」などと思い出して「ありがとう、ありがとうと言って使うから、だし昆布をください」と言ったのです。
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そのときの私のイメージのなかにあっただし昆布は、教授昇格祝いとして贈ってくれる昆布ですから、それなりの昆布をくれるだろうと思って期待していました。つまり「旦局昆布」のような名産品をくれるだろうと思っていたのです。金額も高いのでそんなに沢山は持ってこないだろうと思っていました。ところが卒業生の一人が「先生、昆布を持って来ましたよ」と言って玄関に届けて来だのは、大きな段ボール箱三杯もあったのです。それで私はびっくりして「え、冗談と違う?こんなにたくさんの昆布すごく高かったでしょう」と言って箱を持ち上げたら軽いんです。「あれ!これどうなっているの」と、段ボールを開けて見ました。「くず昆布」というのをご存じですか。立派な贈答用の昆布を作ると、ひらひらとした両端が残ります。そのひらひらっと残った部分が袋にぎゅっと詰めて箱に入れた物です。それが段ボール箱に三杯というわけです。