銀行の金融仲介機能は、情報生産機能、債権管理機能、リスク負担機能の三つに分けて考えることができる。まず、情報生産機能から説明しよう。金融にはすでに述べたような取引費用がかかる。この取引費用とは、借り手の投資の将来収益や資産・財務内容などを調査して、借り手の返済能力を的確に評価するために、情報を収集、分析、保管することに伴って発生する費用である。いま述べた活動を情報生産活動、その活動に伴う費用を情報生産費用と呼ぼう。情報生産費用の中には、融資額の大小にかかわらず出費せざるを得ない費用が多く含まれている。したがって、少額の最終的貸し手が情報生産に従事するよりも、銀行のような金融仲介機関が専門的に情報生産に従事した方が、融資一単位当たりの情報生産費用を大きく削減することができる。融資額が大きくなるにつれて、融資一単位当たりの情報生産費用が減少することを「規模の経済が働く」という。銀行はこの規模の経済を利用して、効率的に情報を生産できるのである。次に、債権管理機能を説明しよう。貸し手は融資後も債権を保全する(債務不履行が起きないようにする)ためには、借り手が契約された目的に沿って、資金を運用しているか、財務内容は悪化していないか、返済能力に変化はないか、といったことを監視していなければならない。この活動を債権の管理と呼ぼう。この活動についても規模の経済が働くと考えられるので、銀行が専門的にその活動に従事する方が、融資一単位当たりの債権管理費用は減少するであろう。